眼高手低逓伝広報局

元浪人生の小言大展覧会

あるコンビニのイートインコーナーで、当てもなく過ごしていると、そこに虻(もしくは蜂)が飛んでいた。虻は何度も何度も外の明かりにつられて窓に当たっていた。昼だった。ずっと飛んでいるうちに、力尽きたのか窓辺にへばりついて動かなくなってしまった。生きてはいるようである。

羽虫には光走性があるから、仕方ないことかもしれない。しかし、我ら人間にもこのようなことがあるんじゃないかと、ふと思った。
窓の向こうが素晴らしく見え、壁を認知出来ずに力尽きるまでぶつかっていく虫…浪数を重ねながら踠き、遂に人生の活力を失い廃人となる多浪…。
すぐ横に行けば、自動ドアがある。直進せずに回って行けば外に出られるのに、何時までも窓にぶつかる虫。

我々が最短経路だと思い込んでいることも、実はガラスの壁に遮られているのかもしれない。真に賢く空を飛びたいものだと思う。

これを書いている間、虻はとうとう再び飛ぶことは無かった。行けない向こうへ、力を使いすぎてしまったのだろう。なんとも、憐れに思う。